材料のこだわり
わっぱんが始まった1980年代は、無理な経済開発によってもたらされた環境汚染や公害に、社会全体が疑問符を突きつけ、安全な暮らしを取り戻すにはどうしたら良いか、模索する時代でした。わっぱんは、創業当初から無添加にこだわり、環境運動や市民運動に取り組む人からの支持を得て、販路を広げていきました。
1987年のわっぱん工場の開所式で、講演に招いた講師の方から、外国産小麦の残留農薬が添加物以上に体に有害であることを聞き、翌1988年に国産小麦に切り替える決断をします。切り替え直後は、外国産に比べ、コシが弱く膨らみも味も劣りましたが、品種『はるゆたか』との出会いで、コシ・キメ・味よしの、外国産に見劣りしない国産小麦わっぱんが実現しました。
現在は、国産小麦100%はもちろんのこと、有機野菜や果物、添加物を極力使用しない加工品、非遺伝子組換食品、放射性物質不検出のものなど、お客様に胸を張って安全とおすすめできる素材を厳選し、手間ひまかけて製品づくりに励んでいます。
添加物を避けようとすると、おのずと手づくりが基本になります。粒あん、カスタードクリーム、りんごジャムなどの具材は、精製していない粗糖でじっくり炊いて手づくりしています。
わっぱんのパンづくりで一番苦労するのも、材料探しです。自然食品を取り扱う取引先の業者さんを通じて仕入れたり、長野や北海道の契約農場から取り寄せたり、自社農場で栽培したものを使ったり、フェアトレードの商品を使用したり、できる限り顔の見えるところから取り寄せるようにしています。
毎年2月に水俣から取り寄せる甘夏みかんは、水俣病の患者さんと支援者の方達が、子孫に毒を食べさせまいと無農薬にこだわり大切に育てておられるものです。わっぱんでは、生産者の方々の想いもまた、パンとお菓子に込めてお客さんに届けたいと願い、それを心がけています。